
2025.03.11Vol.678 子育て方針大転換(前編)
これまで我が子には高校生になるまでスマホを持たせないと公言してきたが、中2の二男には1年前倒ししてこの3月から、小6の三男には中学生になるタイミングで買い与えることにした。そして、もう一点、二男は高校受験を1年前に控えたこのタイミングで大手の塾に通うかもしれない。後者に関しては完全に本人任せなのでどうなるかは現状定かではない。それら二点において方針を大きく転換したことの報告が今回の骨子である。内容的には月1回の内部配布の『志高く』の方で扱いたかったのだが、そうなると二男も目を通すことになるのでこちらの方を選択した。
昨年の10月末、二男とのことを話題にした「Vol.660 二人目が一人目、だからと言って三人目が二回目でもきっと一回目(前編)」の中で、「先日、中2の二男と2人きりで食卓で向き合いながら、珍しく諭すように話をした。『親にとって、子供が頑張ることなくダラダラと生活をしているのを見るのは楽なことではない。期待をするとそれに応えないことにイライラするし、期待をしなければ腹も立たたないんだろうけど、それもまた違う』」、その続編のVol.662で、「生きて行く上で大事なことは小5ぐらいまでにすべて伝え切ろう、という心持ちでいた。それは、いつ死んでも良いように、ということではなく、反抗期が来て、父である私のことが鬱陶しくなり話にまったく耳を傾けなくなっても良いように、という考えからであった。大きく括っても中学生、高校生、大学生、社会人それぞれの時期で話すべき内容は違うので、そんな早いタイミングで息子たちに対する父としての役割を全うできるはずはないのだが、いつまでも素直に聞いてくれることはない、ということを自分自身に言い聞かせていた」と述べた。
「いろいろなこと」が積もり積もってのことにはなるが、相変わらずのダラダラ具合に痺れを切らして「そんなんだから中途半端な結果しか出せないんだ」という私の叱責に対して、「それはパパの育て方が中途半端だからだ」と反論して来たことが引き金になった。私も父と親子げんかをよくした。特に中学生の頃は何度か「出て行け」と言われ、その度に大きなバッグに何日間分かの衣服を詰め込んで家出をした。大抵は一泊で帰っていたような気がする。一度などはテスト期間中であったため、勉強道具も荷物に含まれていた。友達の家で、「あっ、あれ持ってくるの忘れた」とはならなかったので、頭に血は上ってはいても最低限の冷静さは保てていたのであろう。箪笥の引き出しを開けながら準備していたときに「早く出て行け」と父に追い討ちを掛けられ、「ちゃんと出ていくわ。今準備してんねん」などと言い返したときの光景を今でも何となくではあるが覚えている。
そんな私ではあったが、相手が父に限らず結果を出せない自分の不甲斐なさを誰かのせいにした記憶は無い。売り言葉に買い言葉であって本心ではなかった、と後から振り返れば認められるような状況であったとしても、そんな恥ずかしいことを口に出すことは無かった。そこが私と二男の決定的な違いである。「いろいろなこと」の例をいくつか挙げる。3人ともサッカーをやっているのだが、一人だけ高いスパイクを要求してくる。「弘法筆を選ばず」ではないが、私に言わせれば、「弘法でもないんだから筆を選ぶな」という話なのだ。サイズが合わずに足を痛めることを含め怪我は避けなければいけないが、同じ型のものであれば、本革ではなく人工皮革のものにすれば良いのだ。私がサッカーを始めたのは高校の頃なので、中学生よりも考え方がしっかりしていて当たり前ではあるが、試合用には少し良いもの(それでも同級生と同等か少し安いものを使っていた)を、練習用は履き潰すので最低限のものでしかなかったし、それにしても週末には持ち帰り、靴墨を塗ったりしながら大切にしていた。勝負をするのは筆の値段ではなく練習量であるべきなのだ。二男が自主練をすることはほとんどない。木曜と金曜だけ学校で朝練があるのだが、月曜から水曜はぎりぎりまで寝ている。私なら絶対に早起きして一人で練習をする。2点目は遊びに行ったときの帰宅時間のことである。「二人目が一人目」シリーズの中でも言及した気はするのだが、休日に遊びに行く際、私は父から「18時までに帰って来い」などと言われることがあったため、楽しんでいる最中に一人だけ抜け出さないといけないのが嫌で嫌でしょうがなかった。切り上げたところで、家に帰って何かする気力が起こるわけでもなかった。自身のその体験談を三人の息子たちに話した上で、「何時に帰ってくるかを伝えた上で、どうしても遅れる場合はその決めた時間を過ぎる前に必ず連絡をしてきなさい」というルールを設けた。二男は予めかなり遅い時間を伝えて来るのだが、それでも度々延長の連絡が入ったり、5分程度ではあるが時間を超えることもあったりする。サッカーのことにしても、帰宅時間のことにしても親としては自主性を持って欲しいのだがそこが全然うまく行っていない。その他、一軒家なのでゴミは家の前に置けば良いだけなのに、今朝も燃えないゴミを三男に持って行かせていた。それに関しても何度も注意をしたのに改善が見られず、兄弟でもめる原因を作るのは大抵二男である。
今朝は、二男と同じ学年の男の子のお母様と臨時で面談を行っていた。その際、「子育てなんてどうせ思ったようになんか行かないもんなんで、問題を抱えたときに『さあ、どうやって前に進んで行こうかな』と考えるしかないですね」というようなことをお伝えした。これ以上ないぐらいに実感のこもった私の言葉は、きっとお母様の心の奥深いところまで届いたはずである。
つづく