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2025.01.28Vol.672 勉強を通して身に付けたこと

 昨年末、5年ぶりに予備校時代の同窓会があり10人が集まった。100人ぐらいのクラスでそのうち2,30人が京大に行った、と認識していたのだが、チューター(担任)が具体的な数字を挙げながら誇らしそうに148人中66人だったと話していた。それを聞いて、「思ってたより価値があったんや」となった。と言うのも、その予備校の恒例行事で、前年度の卒業生がセンター試験を前日に控えた生徒の激励会があり、私はクラス代表に選ばれていたからだ。一番成績が優秀だった奴が断ったので、それ以外の連中で、目立つのが好きそうな私に白羽の矢が立っただけの話ではあるのだが、100人以上の前で話す機会を与えてもらえたのは貴重であった。私が所属していた京大クラスと医学部クラスの理系のトップ2クラスの合同開催で、事前に医学部クラスの方は京大医学部に進んだ真面目な奴だと聞いていたので、「センター試験の鉛筆や消しゴムのこと、時間に余裕を持って行動することなど基本的な話をするんやろうな」という想定(実際その通りであった)と「浪人生やからセンター試験を実際に体験してるし、これまでにもそういう話は幾度となく聞かされているやろうから」ということを踏まえて、「さて、何を話そうか」と考えた。また、聞く側には1年前に一緒に勉強していた2浪している仲間も数人いたので、そこには気を遣わないとな、というのもあった。当時は今以上に好き勝手やっていたのだが、もし自分が逆の立場やったらしんどいよな、という最低限の想像力を働かせるぐらいのことはさすがにできた。結局、「センター試験については既にいろいろ聞いていると思いますので、私はセンター試験後から2次試験までの話をします」といったような内容を冒頭に持って来ることにした。
 浪人生の1年間で合わせて4回受けた河合や駿台の京大模試では、威張れるような成績では無かったものの少しぐらいは余裕を持った状態でコンスタントに合格圏内にはいたので、得意では無かったセンター試験で「おおこけ」しないことだけに注意を払っていた。京大の工学部で得点としてカウントされるのは、国語、社会(私の場合は地理)、英語の3教科だけで、それぞれ150点、100点、50点に換算された。現在の共通テストとは違い当時の英語の試験は簡単であったことに加え50点に圧縮されるため、直前の1カ月は国語と地理の対策だけをして、ほとんどは2次試験の勉強に時間を費やしていた。国語に関してはそれまで200点満点中150点を超えたことは1度あったかどうかだったにも関わらず本番では過去最高の167点も取れ、地理も100点満点中88点とまずまずだったため、若干のビハインドで2次試験に臨むつもりが想定外の貯金ができた。センター試験が300点、2次試験が700点の合計1000点満点なのでその貯金などは簡単に吹っ飛ぶことは百も承知だったのだが、2次試験は失敗しない自信があったのでその瞬間合格した気分になってしまった。そこから2次試験までの1カ月は分かりやすくだらけた。午前中は普通に自習して、5人ぐらいでご飯を食べに行った後、一人だけそのまま戻らずにゲームセンターに寄ったり、予備校に戻っても自習室に上らず地下に下りて行って食堂で誰かしら友達を見つけては話したりしていた。1日の勉強時間が1, 2時間減っても学力は落ちないが、気の緩みは驚くほど本番の試験中にマイナスに作用した。それについ細かく書こうかと思ったのだが長くなりそうだったので割愛する。その結果前期は不合格になり、後期(なお、京大は2007年に後期試験を廃止した)でどうにか合格した。冒頭の話に続けて、ここで述べたような自らの失敗談を披露した上で、「皆さんはセンター試験の結果が良くても私のように気を抜かないようにしてください」ということを伝えた。
 高校、大学受験生とは違い、中学受験生はそれなりにメンタル面のケアをしてあげる必要があり、それは我々が果たすべきとても重要な役割の一つである。大学受験時の自らの情けない経験があるから、直前1カ月の一番大事な時期に「とにかくたくさん勉強して実力を付けろ」ではなく、「力を付けることはもちろん大事やけど、最後まできちんとやることで本番で力を発揮できるようになるから気を緩めずに一つひとつのことをきちんとやりなさい」というメッセージを発することができる。また、浪人生の頃でさえ最長で一日6時間ぐらいしか勉強できなかったことも、生徒達にアドバイスをする上でプラスに働いていると思い込んでいる。もし、私が苦も無く12, 3時間勉強ができていたのであれば、大してやらない子を「お前はやる気がない」と否定していたかもしれない。そうでなかったからこそ、いっぱいやっている子には「量は大事やけど、質の方は大丈夫か」と、あまりやらない子には「俺もそうやったけど、長時間せえへんのやったらその分工夫せなアカンで」といったような声掛けをすることができる。その他、意見作文に取り組んでいる生徒には「そのテーマに対して、多くの人がどのようなことを書くかを踏まえた上で自分のポジションを決めに行かなあかんで」ということをよく伝えるのだが、それについては、予備校で話をするときに既に私自身が意識していたことなのだ。私のように教育に携わっていなくても、大学受験までに学んだ、身に付けた物事への考え方や取り組み方などはその後の人生に役立つはずである。作文や読解問題を通して、国語力はもちろんこと、言うなれば人間力を豊かにしてあげられる塾でありたい。

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