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2024.11.19Vol.663 本音を知りたいからこそ尋ねない

 ブログをアップした翌日、今度は半年空けることなく3週間弱でメールをいただけた。それは次のように始まっていた。「書く『決め手』になれて、光栄です!タイトル、秀逸でした」。「タイトルのこと誰か褒めてくれないかなぁ」というのが、恥ずかしながら私の文章に出てしまっていて、それをくみ取って伝えてくださったのであろう。大元の「二人目が一人目、だからと言って三人目が二回目でもきっと一回目」自体かなりのお気に入りで、前回の「後編やおまへん」も、「一発目が『上』やったら、『下』との間に『中』を挟めるけど、『前編』としてしまったからどうしたもんやろか」となっている中で閃いたものだった。韻を踏めたこともあり、本当は誰かに「あのタイトルどう?」と聞きたくてしょうがなかったのを我慢していたのだ。「面白かったです」などとしか答えようがなく、本心かどうかが分からないからだ。返信のメールで喜びとお礼を伝えた上で、「タイトルの説明をするなんて野暮ですから」ということを述べたのだが、それはここだけの話である。
 続きを書くと宣言しながらそのままになってしまうこともあるし、書き切った場合でも「言ったからには書かないと」と後ろ向きなときもある。水曜日の段階で、「今度こそ後編どすえ」は先延ばしにすることを決めていた。二男とのことは、文章にすることで自分の頭や心が整理されていることを実感していることもあり積極的な延期である。どういう心境でそのような判断をしたのかを明確には覚えていないのだが、「じっくりと時間を掛けながら現状を見つめ、着実に前に進めて行くために」というような思いは働いていたはずである。ところが思わぬ事件が勃発した。木曜日に仕事から帰りご飯を食べていると、ソファに掛けた私のアウターに、クラブ後お風呂にも入っていないにも関わらず二男が上半身裸のままで寄り掛かっていたのだ。「脂が付くからくっつかないで」と普通に伝えたのだが、「外の空気に触れても脂が付く」とか訳の分からないことを言い返して来て、その後も「パパは最近すぐに突っかかってくる」などと顔をしかめながら不満そうにぶつぶつ言うので、当然のごとく私の頭には血が上り、「こっちに来い!」と目の前に座らせた。そして、そこから15分ぐらいの言い合いが始まった。一進一退とか三歩進んで二歩下がるという表現を充てることが多いのだが、計測器があるわけでもないので、二男との関係がどうなっているのかは実際のところは分からない。一歩進んで五歩下がったぐらいの感覚なのだが、四歩下がっていたとしても、ただ三歩下がるだけのマイナス3よりは随分意味がある気がしている。ある期間で見たとき、結果的に何歩下がることになろうが、一歩でも二歩でも前に進むというプロセスがそこに組み込まれていることが大事なのであろう。着実に前に進むなんてありえないな、ということを学んだ出来事であった。そもそも、そんな簡単に解決する問題なのであれば、これほど反抗期が世の中で話題になることは無いのだ。現時点で他に書きたいテーマがあるので、「今度こそ後編どすえ」はさらに1週間後ろ倒しになるかもしれない。
 先週、文章をいろいろといじっているうちに他との関連が無くなったために削ったものの、「来週以降使えるかも」と取って置いた面談に関するものをそのまま貼り付ける。それゆえ、一文目の「昨日」は先週の月曜のことを指している。

半年に1回の親御様との面談の日程を西北校は昨日ですべて終えた。生徒たちから、「『先生と何話したん?』ってお母さんに聞いたけど、また勉強と全然関係の無いどうでも良い話しかせえへんかったんやろ」と言われることがよくある。それに対して、「あのな、きみらの親が半年に1回のタイミングでちょうど大きな悩み事を抱えてるわけちゃうやろ。勉強や成績の話をしてないだけで、意味のない話をしてるわけちゃうから。そういう話を通して、俺のことを信用できると思ってもらえたら何か問題抱えたときに相談してみようかな、ってなるし、逆にこいつはアカンな、となったら、他のところに行くだけのこと。それに、他愛もない話で気が緩んでいるときにその人の本性みたいなもんが垣間見えることがあるから、俺が本当はどういう人かを分かってもらうにはそういう話の方がええねん」それに続けて、「そんな言うんやったら、授業中も余計な話せんと、勉強に関することだけにしよか?」と問うと、「それはやめて。絶対嫌や。それじゃあ松蔭先生ちゃうやん」と返って来て、「せやろ」で締める。生徒たちが面談の話をしたとき、大体こういうお決まりの流れになる。

その「昨日」に当たる最終日に小5の男の子のお父様との面談があった。おそらく今回が3回目か4回目である。「宿題は先にやった方が思い切り遊べるやろ?」、「前の晩に準備していた方が朝に慌てなくて済むやろ?」といったように、「正しい」ことをお子様におっしゃるので、「それは間違えてはないんですけど、それだけに子供はしんどいです。そんなことより、本人に責任を持たせた方が育つはずです」というようなことをこれまでお伝えして来た。今回は、「サッカーでレギュラー取りたいんか?」と聞くと、「うん」と答えるのに、頑張らないんですよ、であった。「私が恋愛に例えると、大した経験も無いのに、といった感じで生徒のお母様に笑われることがあるんですけど」と断った上で、「別れようと思っていても『私のこと好き?』って聞かれると、まだ決心するに至っていなかったら「好きやで」ととりあえず答えるじゃないですか。一週間後に別れを切り出して、『一週間前に好きって言ったのに、あれは嘘だったの?』と言われても困りますよね。だから、そんな質問をして期待する答えを引き出したところで意味は無いんです」という説明をした。もし、どうしても尋ねたくなったら、私が二男に「北野(高校)に行きたければもっとやるはずやけど、全然やらへんやん。ほんまは行こうと思ってへんよな?」と聞いたように、Yesという答えが自分の望むものでないような問いかけ方をするべきなのだ。これに関してもその後ひと悶着あったのだが、それについてもまた今度、ということで。

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