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2023.09.26Vol.608 語らいと語い

 「おとす」に「落とす」と「落す」の2通りがあるように、一般的には「語らい」だが、「語い」を「かたらい」と読むことは無いかと期待して調べたもののそのようなものは存在しなかった。タイトルを「語いと語い」として、最後の方で、「タイトルの読み、実は『かたらいとごい』でした~」と種明かしをしたかったのだ。
 この2, 3年、ブログのネタを探すのに苦労しているので、最近その原因について考えていた。数を重ねてきたこと、それに加えて息子たちが大きくなってきたことが挙げられる。まだ小さい頃であれば、私がしていることが読んでくださっている親御様の参考になれば、というのがあった。何もゼロから考えたり子育てについての本を読んだりしたわけではなく、親御様からいろいろな話を聞かせていただき、それを自分なりに咀嚼して実践していた。そのような意味では、私の子育てについて述べていたようで、実のところ、教えていただいたことのいくつかを実際に試したら子供がこのような反応を示しました、というのをこの場で紹介していたに過ぎなかったのだ。
 なぜ大きくなると書きづらくなるのか。長男が中3、二男が中1になり、テストの点数など具体的な結果が出るようになっているからだ。それがあまりにも悪いと誰も参考にしようとならないだろうし、逆に良ければ単なる自慢みたいになってしまう。中途半端であれば、それも悪いのとほぼ同様なので、いずれにしても良くない。そのような数値化できるものに関しては扱いづらいのだ。
 先日配布した内部生向けの『志高く』では、長男の文章を初めて紹介した。それは、通っている私立中学校のプログラムで、12月23日から約2か月間の留学に応募した際に提出したものであった。事前に確認して欲しいと頼まれたので、どうせへったくそなもん書いてねやろ、と目を通してみたら予想を覆すできであった。長男の文章を読んだのは、おそらく小学校の卒業文集のもの(その文章が下手くそだった)以来で、ちゃんと成長しているというのが実感できて親として嬉しかった。ちなみに、その結果が先週三男との旅行中に出て、妻から画像で送られてきた。そこには次のようにあった。「標記プログラムへの参加者選考のための英語成績を中心とする学校成績と作文による選考、並びに学年教員との協議を行いました。その結果、留学予定者として内定いたしましたので、お知らせいたします。」
 旅行から帰ると、妻に「本人に『良かったね』と直接声を掛けて欲しい」と頼まれた。どうやら長男は私がもっと褒めてくれることを期待していたみたいなのだが、妻から送られてきたラインへの私の返信が「すごいやん」の一言だけだったので拍子抜けしていたのだ。その後、帰宅した長男に次のようなことを伝えた。

成績からすると、絶対に大丈夫と言うことは無かっただろうけど、理求(りく)より上位にいる人でも、そもそも興味が無かったり、行ってみたいと思ってはいても、2ヶ月間も不在にするとその分学校の勉強が遅れることを親か本人のどちらか、もしくはその両方が心配して一歩を踏み出せなかったりすることは少なくないはずだから、それなりの確率で選ばれると踏んでいた。希望通りの学校に行けることはもちろん嬉しいけど、それよりもあの文章を書けたこと、日本人が多いところに行ってもしょうがないからといくつかある候補の中から2人しかいない学校を選んだこと、どうしても行きたいからと良い成績が取れるようにちゃんと勉強するようになったことの喜びの方がお父さんとしては大きい。貴重な経験を積むに越したことはないだろうが、望んだ結果にならなかった(別の学校になる、もしくは留学自体に行けない)としても、今の理求であれば、それを前向きな力に変えられるだろうというのもあった。半年前や一年前の状態であれば、「この留学をきっかけに変わって欲しい」となった気がする。だから、お父さんは喜んでいないのではなく、それだけ理求のものごとに対する取り組み方を信頼できるようになったということ。

 会話なので、実際はもっといい加減な言葉遣いをしていたし、読んでいただいた方が理解できるように情報の補足を若干はしているが、大体上のようなものであった。最後の一文に関しては、ほぼそのままであり、それを聞いた長男は「そういうことかぁ」と満足そうにしていた。
 半年前や一年前は成績全般が振るわなかったし、ちゃんとやるように伝えていた数学に関しても完全に後回しにしていた。中2の3学期に、通常の三者面談とは少し異なり、担任と親に対してプレゼンテーションをする機会があった。なお、学校行事には、妻の予定が合わない場合に限り、私が渋々行くといった感じである。勉強を中心とした学校生活に関して、これまでとこれからについて5分程度でパワーポイントを使って発表するのだが、その中で「僕は数学ができません」ということを動かしがたい事実のように語っていたので、その後の親として感想を述べるパートで、「日頃から言っているように、やってもないのに苦手とか言うな」と突っ込んだ。ちなみに、担任の家庭科の女性の先生がめちゃくちゃまともで驚いた。どのような指摘をするのかと眺めていたのだが、いくつかのポイントをきちんと押さえた上で、「仮に文系に進んだとしても、最難関大学に行くような生徒たちは国語や英語などは当たり前のようにできるから、結局数学勝負になるんだよ」という説明をしていた。家に帰ってからも、「あの先生はバランス良いし頭もえーな。あんなまともな先生、中々おらへんで。ラッキーやな」という話をした。話はそれたが、その数学、それまではテスト前日の時点で一度も解いてない問題が普通にあったのだが、少なくとも2, 3回はするようになり(チェックをするわけではないが、本人の言葉と点数からおそらく事実である)、さらには留学に応募すると決めてからは、その2か月の空白期間を見越して勉強しているようである。志高塾と英語の塾以外は通わせていないので、どのように進めているのかを私は知らない。
 今回、本当は三男との旅行を通して感じたことをテーマにする予定であった。タイトルの「語らいと語い」は、それに適したものになるように付けたのだが完全に別の話になった。それであればタイトル自体も変えれば良いのだが、折角冒頭の段落を書いたので、そのままにしておいた。

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