2022.10.11Vol.562 本当の原因
ただいま、月曜の朝8時前。3週続けてこの時間に文章を書いていることになる。ただ、今週は趣が随分と異なる。祝日であるため学校が休みであり、自室にてパソコンと向かい合っているからだ。気温が下がって秋らしくなってきたことも手伝ってか、何だか気持ちも穏やかである。このブログ、アップした時間が表示されないのが残念で仕方ない。だから、自らアピールをする。前回は、おそらく朝の6時前後であったはずだ。そして、今回もそのようになる予定である。それは、自らを追い込んだ結果に他ならない。火曜はブログがあるからという理由で、授業前にプライベートの予定を入れないようにしていたのだが、そんな弱気な自分と決別するため、2週続けてその禁を破った。目下の懸案事項は、来週どうするか、である。志高塾の1週目に当たるため、月間報告にも追われることになるからだ。「単にゴルフすることを正当化してるだけやん」という声が聞こえてきそうである。そういうとき、両手で両耳を軽く押さえて離して、を繰り返し、アワワワワー、と発声し続ければ都合の悪い言葉は耳に入ってこない。
中学、高校、大学を問わず、受験前夜はとにかく寝られなかった。大学受験の頃には、それを前提にしていたので、当日の朝は「やっぱりアカンかったか」という程度で、「まあ、睡眠不足でも試験のときは集中力が高まるから別に問題にはならない」と落ち着いていられたのだが、高校受験までは、「やばい、睡眠不足で頭が働かないかも」とそれなりに焦っていた。自身のそのような経験もあり、中学受験に臨む生徒には、「前日寝れなかろうが、緊張しようが、集中さえすれば結果は出るから、何も気にしなくて良い」ということを伝えるようにしている。試験結果には何ら影響を与えなかったものの、緊張して寝られない、というのが、自分の肝っ玉の小ささを表しているようですごく嫌であった。しかし、釣りやゴルフを始めて分かったことがある。6時半以降であれば何ら問題は無いのだが、5時台に起床するとなれば「早く寝ないと」という意識が高まり、途端に寝つきが悪くなるのだ。小学生の頃、日曜の野球の練習は6時半から始まるので5時半起きであった。特に冬は辛かった。よくよく考えてみれば、そのときからずっとそうなのだ。それに気づいたとき、「もしかすると、肝っ玉は小さくないかも」となれた。人に迷惑を掛けず、自分にとってプラスに働くのであれば、物事は良いように解釈した方が良い。かなりの確率で、今晩も寝られない。ついでに言っておくと、明日の晩も。要するに、明日も明後日も、ということである。
野球にそれほど詳しくない人でも、ヤクルトスワローズの村上の名前を知っている人は少なくないのでは無かろうか。彼は高卒でプロ入りしているが、当時、同級生で断然脚光を浴びていたのは清宮幸太郎である。ドラフト会議でも、実に12球団中7球団が1位指名をした。1位でプロの世界に飛び込んでも実績を残せないまま引退する選手もいれば、5, 6位でも一年目から活躍する選手もいる。前者は、才能に非常に恵まれ、大した苦労もせずにやって来られた選手であり、後者は、「自分には能力がない」と諦めることなく、ただ野球が好きで、目の前のことに黙々と取り組んで来たのであろう。統計を取れば、指名順位とプロ入り後の成績にはそれなりの相関関係はあるはずである。実際、今年、アメリカのメージャーリーグベースボールの試合に出場した日本人選手は大谷翔平やダルビッシュ有を含め8人いるのだが、そのうち1位指名が6人、2位と3位が1人ずつと、例外なく上位指名(一般的に、3位までをそのように呼ぶ)だ。ここで注目したいのはそこではない。下位指名でも、結果は残せるということである。たとえば、今年のセ・リーグとパ・リーグの最多勝投手はそれぞれ5位と4位でプロの世界に入ってきている。ちなみに、あのイチローも4位である。人の評価なんてそんなもので、将来、どれぐらい成長するかなんて分からないのだ。それゆえ、私は、生徒の天井を勝手に決めてはいけない、ということを折に触れて話す。我々がやるべきは、「この子は、最低限ここまでは伸ばしてあげなければいけない」と下限を決めて、そこまでは責任を持って導いてあげることである。しかも、強引にそこまで到達させるのではなく、できる限りナチュラルに持って行ってあげる。そうすることで、彼らのその後の成長を楽しみに待つことができる、という特典が我々には付いてくる。
野球の話題を持ち出したのは、「禁を破る」の話をしたかったからだ。今年から日本ハムの監督に就任したビッグボスこと新庄剛志と、伸び悩んでいる清宮との間で次のようなやり取りがあった。記事からそのまま引用する。
新庄監督は清宮の腹回りを擦るしぐさをしながら、「ちょっとデブじゃね? ちょっと痩せない?」と減量を提案したという。清宮自身は、体重を落とすことによって打球の飛距離が落ちることを怖がったが、指揮官の見方は違った。「今もそんなに打球、飛んでないよって。昔の方がもっと飛んでいた。昔の方がスリムじゃなかった? それはキレがあったから」と俊敏性に着目。結果を出せていない4年間だけに「変えないと。もし、痩せて飛距離とかがものすごく下がったら、めちゃめちゃ食って戻せばいいだけのこと。とりあえずトライしてみようか、という話をしました」と背を押した。
納得行くような結果が出せていないとき、それまでのやり方を継続するのか、それとも別の方法を取るのか、その選択に正解は無い。変えるのを怖がってそのまま行くことも、何となく変えてみるのも、いずれも良くない。大事なのは、現状をできる限り正確に把握することである。それができれば、進むべき道が見えてくるはずなのだ。言葉にするのは簡単なのだが、実際はそれが難しい。何だか、自分のゴルフの話をしているような気がしてきた。ちゃんちゃん。