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2020.09.08Vol.462 コロナから見る教育

 2か月ぐらい前から、どこかのタイミングで「4月入学 vs 9月入学」というテーマで書こうと思っていたのだが、大して膨らまないことが予想できたこともありそのままにしていた。どちらを支持するのか。
 「Vol.442 9月入学、今がその時」で、「年明け早々の入試は大変危険だ。その時点でワクチンができている可能性は非常に低いからだ。春であれば窓を開け放してのテストも可能であるが、真冬にさすがにそれはできない。ちょうど今ぐらいの時期、4, 5月であればインフルエンザもある程度収まっているため、それもプラス材料として働く。」と述べた。実際、冬を迎えたオーストラリアでは感染者が急増している。入試の中でも一番厄介なのは共通テスト(以前のセンター入試)である。たとえば、私立の大学入試であれば、学部ごとで試験日をずらすなどの対応をすれば密を防げるが、約50万人が同じテストを受ける共通テストでそれはできない。理論上可能ではあるが、試験会場などを分散させると試験監督など関わる人が大幅に増えることによって間違いなくいろいろな問題が起こる。日本のプロ野球やJリーグではチームに感染者が出たために何試合かが中止になった。その試合は延期して行われるので最低限の公平性は担保される。追試験はあるが、本試験との問題のレベルを合わせるというのは至難の業である。正確には不可能だ。となると、追試験を受けた人が有利にならないようにしよう、という力が働くので、そちらの問題は難しくなる。私は旧学習指導要領の最後の学年であったため、浪人生の頃のセンター試験では改訂後の現役生といくつかの教科において平均点で確か10~20点ぐらいの差がついた。例外なく我々の方が下回っていた。救済措置(浪人生の点数を一律で加点する)があるかもしれない、ということが新聞記事などでも取り上げられたほどである。あくまでもメインは現役生なので、言ってみれば彼らが本試験、我々が追試験のようなものなのだ。浪人した自分が悪いので、別にこのことの不満はなかった。若干であっても確実に差を付けようとなると、結果はその程度では済まない。その他、選手は体調が悪いことを申告することがチームに迷惑を掛けないことにつながるためPCR検査を受けようというインセンティブが働くが、受験生は隠そうという方に向かう。「インセンティブが働く」としたが、この前、中学生に「来週、この作文をブラッシュアップしよう」と伝えると、「何か小池都知事みたいやな」と言うから、「あほか。一緒にするな。俺は『ブラッシュアップ』という言葉を教えるために意図的に使っとんねん」と即座に否定した。その時に「横文字を否定されまくったからやろな、この前『人の流れ、いわゆる人流(じんりゅう)』と意味も無く熟語に言い換えてたわ」と付け足した。
 1月の共通テストを3か月ずらした方が良いというのが私の案なので、入学時期もその分スライドさせる。よって、「どちらを支持するのか」の答えは「7月入学」となる。中学入試であれば同じテストを受けるのが数百人、公立の高校入試だと大阪の場合、募集人員が約4万人、倍率を高めに見積もって1.5倍とすると受験生は6万人である。例年は同じテストだが、今年度に限っては偏差値順にA, B, Cなどの3種類に分けて日程をずらせば各2万人ぐらいに押さえ込める。それにより試験会場を分散することも可能になる。この場合は上の共通テストと違い同じ学校を受験する生徒は同じテストを受けることになるのでまったく持って公平である。中学、高校入試はある程度の対策が講じられるが、共通テストはそれができないのでそれに合わせて中学、高校も7月入学にする。これは、今回の台風10号で話題になっていた「特別警報」に通ずるところがある。結局発令はされなかったが、空振りになっても良いのだ。後から振り返って、「1月に問題なくできたやん」となってもそれは大きな問題にはならない。試合は当日の判断で中止にできるが、入試は1か月前に延期を通達されても精神的にかなりしんどい。こうやって書きながらも予定通り1月に実施されると思っている。ただ、この半年間バタバタしっぱなしであること、先が見えないことを考慮するともう少し長い目で問題解決に当たるべきだ。実際、今年は例年の追試験に加えて、特例追試験というのが用意されている。そのことからも文科省が1月の受験は危険だと感じていることが読み取れる。しかもその決定を下したのは6月なのだ。それから3か月、国内においても海外を眺めても当初の想定より明らかに下振れしている。これは、塾の成績が悪くなって来た時の対応と似ている。クラスが下がったからと言って、原因も考えずに闇雲に勉強量を増やせば瞬間的に元のクラスに戻れるかもしれないが、その反動で1つでは済まずに2つ、3つと落ちる可能性がある。頑張った分、そこからのもうひと踏ん張りはかなりきつい。
 大手塾に通うある5年生の男の子は、夏期講習の直前で初めて2番目のクラスになった。彼の親御様はいつも夫婦で面談に来られる。4年生の時も復習をするだけなので意味がないとご両親の判断で塾の夏期講習にも参加させないなど、周りがどうかはさておきご自分たちの感覚を大事にされる。親御様との関わり方にはいろいろなパターンがあるのだが、このご両親の場合は私が提案するのではなく「私もその考えに賛成です」という形で、そのようなやり方で過去にうまく行った例などをお伝えする。もちろん、それで失敗したことがあればそれもお伝えするが、良いやり方をすれば大抵はうまく行くものなのだ。クラスが下がった原因は国語なのだが、小手先の対策ではなく1年半先の受験を見据えて(正確にはもっと長いスパンで考えておられる)全然できていなかった読書の時間を取ること、また、授業で扱っている読解問題の文章のレベルについていけていないので数をこなすことよりも、じっくり解いて1つずつ細かく説明をして、そこで述べられていることを知識として吸収できるようなやり方で進めている。時間に余裕を持たせることで、地に足のついた手が打てるのだ。彼は、親御様がぶれないので本人も自分のやるべきことに集中できている。親子共に目の前の復習テストや公開テストも気に掛けてはいるのだろうが、それ以上に基礎作りの大切さを理解しているのだ。
 本当は、まったく別のことを中心に据えるはずだったのだが、意外や意外「4月入学 vs 9月入学」の話でここまで来た。それに伴いタイトルも変えるべきなのだが、それをすると冒頭の文章自体に手を入れる必要が生じるのであえてそのままで。あわてず、ぶれずに、初志貫徹。

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