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2020.06.02Vol.448 蓋、置いてるとこ知りませんか?

 長い自粛期間を経て、釣りを解禁した。受験生の長男をこの1週間で2回、片道車で2時間、船の上で6時間過ごす船釣りに連れて行った。一昨日、港に帰る船の中で空を見上げながら「今、何時?時間が分かれば、僕、月のある方角分かるよ」と言ってきたので「すごいな」と褒めた。月の形と時間からそれを割り出すのだ。月の満ち欠けを理屈で理解していれば小学生でも難しいことではない。昨日、ラーメン屋で一緒に昼ご飯を食べているとき、そのことを思い出して「勉強って勉強以外のことにも役立つんだね」と言うので、逆だ、という話をした。勉強にしか役立たないのであれば、そんな勉強に価値はない。理科や社会は特にそうである。嬉しいことに長男も二男も学んだ内容をご飯の最中に私にクイズ形式で出してくる。答えられたものはそれに付随することを追加で教えてあげたり、分からなかったものは「どうして?」と逆に質問をしたりする。昨日も長男が、温度の高い星が青白く見える理由を尋ねてきたので、知らなかった私が「教えて」というと太陽の黒点がなぜ黒く見えるか、ということを踏まえて話を始めたので「その2つは関係しているんだろうけど、温度が高いと青白く見えることの説明にはなっていない」と指摘すると、「あっ、そっか」となった。その話はそこで終わり。頭のどこかに置いておいてくれれば十分である。このやり取りに関しては、私の指摘した内容を理解できたことに意味がある。少し補足すると、長男のものは、プリズムに光を通したときの色の見え方を説明するのに虹と同じ、というようなものにとどまっていた。本来であれば「波長の長短によって色の見え方が変わってくる。虹も同じ仕組み」といったように、ある程度原理を説明した上で、身近な具体例を持ってくる必要があった。ちなみに、こんなことは本人には伝えていない。こと受験に関しては、煌々と輝く月もすっぽり覆い隠してしまうほどの暗雲が立ち込めているが、好奇心自体はきちんと育っているので将来的にはあまり心配していない。
 今、すごく強く思っていることがある。1年半後か2年後なのか定かではないが、コロナが終息したときに「元に戻っていてはいけない」ということ。現時点で大それたことを思い付いているわけではないし、今後もそのようなことを追い求めることはない。でも、結果として何か変わっていて、きっとコロナを経験しなければそうはなってなかったよな、と思える何か。傍から見たらちょっとしたもの、でも自分にとってはそこまで小さくないもの、そんな何かを手に入れられないような自分でありたくはない。3か月ぶりに訪れたラーメン屋、以前はカウンターだけだったのがデッドスペースを改修して小さなテーブルが3つ置かれていた。6席増えたというのが変化の内容ではない。それによって、これまであったものの見え方が変わる。そっちの方にこそ意味があるんだろうな、と勝手に思い込んでいる。
 既存の生徒向けにオンライン授業を始めるにあたって、おぼろげながら設定した目標がある。それは海外在住の生徒を10人にする、ということ。3年後にそのようになっていれば上出来である。それには2つの意味がある。オンライン授業の質を高める機会を持ち続けること。もう1つは、海外の教育事情を仕入れること。もちろん、上のことは我々が価値の高い授業を提供した上での話である。生徒が多すぎるとそれに時間が取られすぎるし、少なすぎると我々のオンライン授業は成熟して行かない。そして、そこで得たものを教室での授業にも還元していきたい。教室同様に一対二で授業をする場合、フィンランドとエジプト、アメリカ(東海岸)とコロンビアに住んでいる生徒が一緒に授業を受けている光景を想像してみるとちょっと楽しい。経度がほぼ同じ、つまり時差がほとんどないような地域の組み合わせになっている。現実的に考えれば、そもそも生徒が集まるのか、ということがまずあって、集まったとしても実際はアメリカ同士、中国同士、ということになる可能性が高い。アメリカでも東海岸と西海岸、中国でも沿岸部と内陸部であれば同じ国でも全然違うことが分かって、それはそれで面白い。そう考えると、国内も北海道と沖縄の生徒だけを対象に集めるのもいいかもしれない。オンライン限定の生徒はまだ1人もいないのにイメージだけが膨らんでいく。2, 3年前になるだろうか。私が帰ろうとすると、何人かの生徒たちが「えっ、先生もう帰るん?」と一斉に聞いてきたので、「コーナンに行くんや。はよ行かな閉まってまうから。『アイデアが溢れすぎて困るから、それを止める蓋ありませんか』と店員さんに聞いてみるわ」と答えながら家路についた。
 しょうもない話はさておき、半歩踏み出した。オンライン授業に切り替えていた高校受験生が6月から通塾を再開することになり、そのタイミングで受験対策のために週1コマ追加することになった。そして、その1コマ分はオンラインになった。2コマ通うのは時間的に厳しい、そうかと言って2コマともオンラインと言うのもどこか違う。間を取ったことになる。中間と言うのは、得てして中途半端であることが多いのだが、すごく効果を上げられる気がしている。3か月前にはなかった選択肢である。
 どうしよう。このブログを読んだ親御様から遠くない未来、「先生、ようやく蓋を手に入れられたんですね。」なんて言われちゃったら。意味を理解するのに一瞬の間があって、その後半泣きになりながら「んもう、こぉかばつぐ~ん!」と返して、やけくその笑いだけは取りたいな。なぜだか、そのセリフをIKKOっぽく言いたい自分がいる。

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