2か月前に始めた社員のブログ。それには主に2つの目的がありました。1つ目は、単純に文章力を上げること。そして、2つ目が社員それぞれの人となりを感じてとっていただくこと。それらは『志高く』と同様です。これまでXで投稿していたものをHPに掲載することにしました。このタイミングでタイトルを付けることになったこともあり、それにまつわる説明を以下で行ないます。
先の一文を読み、「行います」ではないのか、となった方もおられるかもしれませんが、「行ないます」も誤りではないのです。それと同様に、「おなじく」にも、「同じく」だけではなく「同く」も無いだろうかと淡い期待を抱いて調べたもののあっさりと打ち砕かれてしまいました。そのようなものが存在すれば韻を踏めることに加えて、字面にも統一感が出るからです。そして決めました。『志同く』とし、「こころざしおなじく」と読んでいただくことを。
「同じ」という言葉を用いていますが、「まったく同じ」ではありません。むしろ、「まったく同じ」であって欲しくはないのです。航海に例えると、船長である私は、目的地を明確に示さなければなりません。それを踏まえて船員たちはそれぞれの役割を果たすことになるのですが、想定外の事態が発生することがあります。そういうときに、臨機応変に対処できる船員たちであって欲しいというのが私の願いです。それが乗客である生徒や生徒の親御様を目的地まで心地良く運ぶことにつながるからです。『志同く』を通して、彼らが人間的に成長して行ってくれることを期待しています。
2023年12月
2024.03.03vol.16 アイのある人間(竹内)
「ここは『アイ』が多い」「『イー』じゃなくて『アイ』」と、大学受験対策の授業でやり取りしていた際に生徒が言い出した。「愛」?確かに愛情を持って今もこうやって指導してますけども、とひっそり納得したのも束の間、どうやらMBTI診断という性格テストで分かる一要素のことだったようだ。そういえば昨年に予備校時代の友人がこれを紹介してくれたのだが、その時はおしゃべりの片手間に選択肢をタップしていたこともあり、出てきた結果も忘れてしまった、ということを思い出した。①興味関心の方向、②物事の見方、③判断の仕方、④外界への接し方という4つの指標についてそれぞれ2つのパターンがあり、最終的に16種類の性格に分類される。血液型占い的なものかと思っていたのだが、調べてみると心理学的に確立されている性格分析のようだ。確かに、先の4つの観点のように、いくつかの切り口から見ていくと「その人」の姿が浮き彫りになって来る。就職活動においては自己分析の一つとして活用されるし、もっとフランクに、自己紹介代わりにも用いることができる。先述の生徒は①の点で、「志高塾には外向的(extrovert)なEじゃなくて、内向的(introvert)なIの人が多い」と感じていたそうだ。
ネットや辞書を確認すればより正確な意味が分かるが、あえて自分の言葉にするならば「外向的」とは「他者を巻き込もうとする」こと、「内向的」とは「自己完結しようとする」ことだと表せるのではなかろうか。コミュニケーション能力の高さと結びつくのではなくて、コミュニケーションそのものに対する向き合い方。すすんで人と関わろうとすればそれだけ機会も増えるので自ずと対人スキルが磨かれる部分はあるだろうが、ただたくさん接するだけでは揉め事に発展してしまうことも多くなるかもしれない。反対に、一歩引いたところにいたとしても、相手をよく見ていれば適切な一言を発せるし、話も円滑に進めやすい。無論、どちらが良い悪いというものではなく、人それぞれどちらの側面も持っていて、その比率が少しずつ異なる。優劣のあるものではないが、その時々でどちらに意識を向けられるか、という切り替えは対人関係を築くうえでは大事なのだろう。
せっかくの機会だしということで、その授業の後、「MBTI」で検索をかけて一番上に表示されたサイトで実際にテストしてみたところ、「ENFP(運動家)」の型に属していた。IではなくEだったということになるのだが、より細かく分析するとI:Eが4:6だった。一人でうだうだと考える時間と、そんなこと言っても仕方ないのでもう誰かと一緒に過ごしちゃおう、という時間が確かに丁度半々くらいではある。まあ、こういうのは後になって再度やってみると、また新しい結果が出ることもあるのだが。
自分がIの人間ではなかったので、「Iが多いのか」という問いに対して首を縦に振りづらいのだが、「内向的であることを大切にしている人が多い」と答えることはできる。文章を読んだり、書いたりする国語の取り組みはやはり内向きで、自分が感じたことや考えたことを取り出そうとする行為である。数ある塾の中から国語と作文に特化したうちを見つけ、働きたいと思ってくれる人たちは、その力を育むことの必要性への共感度が高い。一方で、自分がそれをできることと、子どもたちにそれができるようにしてあげることとはまた別物なので、その点において外向性が求められる。伝えるために、分かってもらうために、自分から相手に飛び込んでいかなければならない時がある。このような対照的な営みによって、私自身の4:6のバランスは成立しているような気がする。
本来の自分の形を自覚しながら、しなやかさも鍛えていく。人と関わる仕事の醍醐味はここにある。この週末は志高塾の恒例のイベントである「十人十色」が控えているだけではなく、この春に卒業、就職する学生講師たちの送別会も行うことになっている。やっぱり、「アイ」は「愛」で良いかもしれない。長く生徒たちと接し、導いてきてくれた各講師をしっかり見送るとともに、次の講師へと繋がれていくように「運動家」の役目を果たしたい。