
2か月前に始めた社員のブログ。それには主に2つの目的がありました。1つ目は、単純に文章力を上げること。そして、2つ目が社員それぞれの人となりを感じてとっていただくこと。それらは『志高く』と同様です。これまでXで投稿していたものをHPに掲載することにしました。このタイミングでタイトルを付けることになったこともあり、それにまつわる説明を以下で行ないます。
先の一文を読み、「行います」ではないのか、となった方もおられるかもしれませんが、「行ないます」も誤りではないのです。それと同様に、「おなじく」にも、「同じく」だけではなく「同く」も無いだろうかと淡い期待を抱いて調べたもののあっさりと打ち砕かれてしまいました。そのようなものが存在すれば韻を踏めることに加えて、字面にも統一感が出るからです。そして決めました。『志同く』とし、「こころざしおなじく」と読んでいただくことを。
「同じ」という言葉を用いていますが、「まったく同じ」ではありません。むしろ、「まったく同じ」であって欲しくはないのです。航海に例えると、船長である私は、目的地を明確に示さなければなりません。それを踏まえて船員たちはそれぞれの役割を果たすことになるのですが、想定外の事態が発生することがあります。そういうときに、臨機応変に対処できる船員たちであって欲しいというのが私の願いです。それが乗客である生徒や生徒の親御様を目的地まで心地良く運ぶことにつながるからです。『志同く』を通して、彼らが人間的に成長して行ってくれることを期待しています。
2023年12月
2025.03.21社員のビジネス書紹介⑱
徳野のおすすめビジネス書
『「好き」を言語化する技術』(三宅香帆、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2024年)
なぜ「推し」を「布教」したくなるのか?一般的な答えは「趣味を共有できる仲間が欲しいから」だろう。だが、その根本には、受動的な消費者としての自分のあり方への疑問もあるのではないだろうか。その危機感ともいえる感情が、自分が作り上げたものを通して誰かに影響を与えたいという欲求に繋がる。
しかし、いざ「推し」やお気に入りの作品を紹介しようと意気込んでも、「やばい」「感動した」くらいしか出てこないことに悩む人は少なくない。そして、上手くいかない原因を文才や観察眼の欠如に結びつけて書くことじたいを諦めてしまう、という流れも珍しくない。だが、本書の作者は、そういった能力の差は関係ないと断言する。大切なのは「自分の言葉」を持てているかだ。そのためには、取り上げたいコンテンツにまつわる他者の意見をいったん遮断した上で、自分自身の感情をとにかく細分化していく過程が重要になる。
人間は自身が思っている以上に他人の言葉に左右されやすい。そして、情報に触れすぎると自分で考える習慣は失われてしまう。そんな頭から出てくる言葉は紋切り型の、書いた当人も満足できないものに留まってしまう。だから、何かの感想を言語化する際は、真っ先にSNSを開く指を止めた方が良い。そこからは、題材で印象に残った箇所を「5W1H」を意識しながら把握し直し、自分が抱いた感情に関して「なぜそう感じたのか?」と問いを立て続ける。その探究を繰り返していくうちに「点」どうしが繋がっていき、文章としての形が見えてくる。時間はそれなりにかかるものの、自己分析するための絶好の機会にもなるだけでなく、何より「推し」への理解度と愛がさらに深まっていくことで充実感が生まれる。
書き上げたものを発信するとなると、読み手を想定しながら構成や内容にさらなる工夫を重ねていく必要はあるが、何より書き手が持つ「その人らしさ」に溢れた感想が人を動かすのだ。
三浦のおすすめビジネス書
『学力喪失――認知科学による回復への道筋』(今井むつみ、岩波書店、2024年)
著者(秋田喜美氏との共著)の『言語の本質』は、「こういう本が話題書になるなんて」という感動で手に取り、一応本棚に収まってはいるのだが、まだ冒頭までしか読めていない。そんな折、勧めてもらったので本書を読んだ。
言語とは、ことばとは。そういった視点は、今回の「学力」という点にも深く結びついている。しかし、それは単なる数値化されたテストの点数ではない。算数にしろ国語にしろ、生徒の解答を見ていると「なんでそうなるん」と思うようなものも散見される。本書は、いわば「なぜそう考えてしまうのか」の原因を言葉の観点から考えていったものだ。
言葉というより、肝心なのは「スキーマ」である。スキーマとは簡単に言えば暗黙知を指し、明文化せずとも「当たり前」だと思っている事柄である。その根本に齟齬があれば、どれだけ考えても正しい解答には辿り着かない。例えば一粒摘まんだ砂糖に重さを感じない子供が「砂糖に重さはない」と思い込んでいた場合、そのグラムを求める問題で躓いてしまうといった具合だ。しかし、その思い込みはテストの点数だけでは読み取れない。
また、もう一つ本書で重要なキーワードに「記号接地」がある。言葉を記号として捉えたとき、その記号の意味を概念的に理解することを指している。どれだけこの接地ができているか、それが言葉の理解度を指す。例えば私は分数が大の苦手だったのだが、これも分数がどういったものか、1/4や1/5が何を指しているのかわからなかったからだが、これは「接地できていなかった」ことが原因なのかもしれない。時間という概念、数という概念、それらがわかっていなければ問題を解くのは難しいだろう。
ここからが本題で、ではどのように「学力喪失」を防ぐのか。遊びを交えながら実践的な事柄に落とし込むという方法が挙げられていたが、志高塾として考えると、「子供自身がなぜそうなるのかを自主的に考えられる環境を作ること」、「その『なぜ』を否定するのではなく、自分で考えを修正できるような声掛けをすること」である。そして、加えて「なぜそのように読み取ってしまったのか」をしっかりと見極めることだろうか。
竹内のおすすめビジネス書
『黒子の流儀 DeNA不格好経営の舞台裏』(春田真、KADOKAWA、2015年)
昨年、DeNAの創業者である南場智子氏の『不格好経営』を取り上げた。南場氏は家族の病気が理由で2011年5月に社長職を一度離れることとなり、その後会長に就任したのが本書の著者である春田真氏である。
京大法学部を卒業した後、銀行員として働いていた春田氏。90年代後半から金融業界にもインターネットが広がりを見せるようになり、ネットバンキングの話が進んでいた。ネットオークションを運営するDeNAの誕生もその頃である。職場で使用可能となったオンラインのパソコンに触れながらネットによるビジネスをイメージしていたこと、取引のあったマッキンゼー社出身の南場氏が興した会社であることから、興味のままにサイトの「社員募集」ページからメールを送り、30歳の年にベンチャーの扉を開いた。新しいものに飛び乗ってみる行動力や嗅覚の鋭さが窺える転職劇だと言える。
黒子はいわゆる裏方や縁の下の力持ちとして認識されている。実際、トップに南場氏がいる際に求められるのは彼女の目指すものを実現するサポート役としての働きである。ただ、彼の優れているところは全体像を掴んだうえで打つべき手を判断できるところにある。上場に向けた準備においては、それがかなう場合タイトなスケジュールになるため、相手方の東証が確認する会社概要などの資料を完璧に作りあげ自分たちに対する「期待値」を高く設定することを大事にしていた。また、そのあと受けることになる質問への回答を、どのような内容だとしても必ず1日で行うことを徹底した。これも、無理を言っている側の自分たちに綻びを作らないためである。先を見越しているというか、客観的視点を持って動くことが黒子には不可欠なのだということが感じられた。球団オーナーを務めるに至った春田氏はもはや黒子とは呼べないだろうが。
しかし、球団買収、運営においても、他者の動きを把握したり、意図を掴んだりするということに対しては常にアンテナを張り続けていた。一度は頓挫し、TBSと別企業との間で進んでいた横浜ベイスターズの買収交渉が決裂するとすぐに再交渉を迫ったり、読売ジャイアンツの渡辺恒雄氏とは早めに面談の場を設けていたりしたことがその最たる例である。動きどころ、押さえどころを外さないことが物事を進める鍵になる。