2025.02.04Vol.673 家庭の
昨年、GWを利用して妻と2人でスイスとドイツを旅したときに、「味」よりも「旅」の方が家庭ごとの違いが顕著に出るのではないだろうか、ということに初めて思い至った。帰国後、旅慣れているであろう元CAのお母様に私の大発見をぶつけてみた。
人は、初対面の人に何を尋ねるのであろうか。私は、体験授業に来られたお母様に年齢を聞くことも少なくない。何歳かを知りたいわけではない。一番分かりやすい例を挙げれば、同じ高校出身だと知ったときに、自分と重なっているか、もしくはそうではないにしても先輩、後輩と知り合いで無いかを確認するためである。高校の場合、「何期ですか?」になる。その問いが発せられた時点で会話の目的が共有される。実際、先日、豊中校の生徒のお母様と初めてお会いしたとき、同窓生であることは知っていたので、「私は108期ですが何期ですか?」「99期です」、「橋下さん(元大阪府知事)の少し上ですか?」、「1学年上で、有働さん(フリーアナウンサー)とクラスメイトでした」と続いた。年齢よりはるかに興味があるのは、どこの出身かである。
春休みに塾の1週間の休みを利用して、三男と二人で車での旅を考えていて、ひとまず群馬を候補地にすることにした。運が良いことに、そのタイミングで私が応援しているガンバ大阪の試合が3/29(土)に新潟で行われることが分かり、新潟から群馬に下るルートだけを確定させた。新潟に行くと決めた後、偶然新潟出身の人に会い、「新潟市ですか?」、「富山に近い上越ですけど知らないですよね?」、「上杉謙信の春日山城には行ったことがあります」、「大河ドラマの舞台になったとき(謙信の養子である上杉景勝の家臣直江兼続が主人公の『天地人』が2009年に放送された)は観光客もすごかったみたいです」というやり取りをした。1週間ほど前、3年ぶりぐらいにマッサージに行った。ストレッチと筋トレを日常的に行っているのでスポーツ中の怪我以外で体のどこかが痛くなることはほとんどないのだが、1週間以上も背中が張っていたので止むにやまれずのことであった。施術中に、セラピストに例のごとく質問をぶつけると、またもや新潟で、しかも佐渡から出て来たとのこと。人生で初めて佐渡出身の人に出会った。昨年世界遺産に登録された金山はもちろんのこと、一時期話題になったトキも今ではそれなりに増えていることや、たらい舟が有名であることなどを教えてもらった。そのたらい舟、調べてみるとやっているのは3月下旬から11月下旬とのことであった。ラッキーなことにちょうどシーズンインしたところである。日本海は荒れることが多いの、せめて2日ぐらい候補日を設けておかないと乗れない可能性が高くなってしまう。そうなると27日と28日の両日がそれに当たる。塾の休みは3月30日(日)からのなのに、移動距離のことなどを考えると、せめて26日(水)の朝にはこちらを発つことになる。断腸の思いで、それなりの日数仕事を休むという苦渋の決断を迫られることになりそうである。
「家庭の旅」の話。我が家の場合、私が勝手にいつどこに行くかを大体決める。2週間後に「どこか海外に行こう」となることもあれば(こういう場合、大抵は適当な飛行機が見つからず、国内になることがほとんどである)、ヨーロッパなどであれば3カ月前ぐらいには飛行機だけは押さえる。行くところと大体の日程を決めたら、誰が参加するか、どこに行きたいかなどを聞いた上で少しずつ計画を立てはじめる。学生の頃は2週間ほどヨーロッパに滞在することを何度か経験したが、その際、最初と最後のそれぞれ2, 3日ずつだけホテルを決めて、後は向こうに行ってから予約するというスタイルであった。どこの町にどれぐらい滞在したくなるかは実際に訪れてみないと分からないからだ。この前の旅行では、帰国前日にドイツでサッカーを見ることにしていたのだがチケットは早い段階でどの試合も完売していたため、最後の3日ぐらいの予定は空白であった。日本人が所属するチームが複数あり、どの試合を観戦するか、毎日転売サイトとにらめっこしながら席の空き状況と値段を確認していた。最終確定したのは、試合の3日前ぐらいであったはずである。私はそのようにあそこも良いな、ここも良いな、と考えるのが好きなのだが、それと正反対の人もいる。ある生徒の家族は、旦那様が分刻みに近い入念な計画を立て、お母様と娘2人がそれに必死になって付いて行くというスタイルである。その話を聞き、「そんなん私には絶対無理です」と伝えたところ、「私たちも大変ですよ~」と返って来たことがあった。冒頭のお母様、結婚した当初は旦那様はほとんど旅行の経験がなかったためお母様がリードしていたが、旦那様も場数を踏んで今では現地でそれぞれ好き勝手なことをしているとのことであった。我々夫婦はその逆だったのだが、もし夫婦そろってそれなりに旅好きであった場合はどうなるのだろうか、というのが「家庭の旅」ということを思い付いたときに最初に浮かんだ疑問であった。予定の立て方だけではなく事前の持ち物の準備や、ホテルをチェックアウトする際にどのタイミングで誰がパッキングするかなど、家庭ごとでばらばらなのであろう。元々「家庭の旅」というタイトルにしていたのだが、文章を書きながら「味」や「旅」だけではなく、ありとあらゆることが家庭ごとでやり方が違うんじゃないだろうか、という気がしてきた。それに伴い、タイトルから「旅」を取り除いた。