2か月前に始めた社員のブログ。それには主に2つの目的がありました。1つ目は、単純に文章力を上げること。そして、2つ目が社員それぞれの人となりを感じてとっていただくこと。それらは『志高く』と同様です。これまでXで投稿していたものをHPに掲載することにしました。このタイミングでタイトルを付けることになったこともあり、それにまつわる説明を以下で行ないます。
先の一文を読み、「行います」ではないのか、となった方もおられるかもしれませんが、「行ないます」も誤りではないのです。それと同様に、「おなじく」にも、「同じく」だけではなく「同く」も無いだろうかと淡い期待を抱いて調べたもののあっさりと打ち砕かれてしまいました。そのようなものが存在すれば韻を踏めることに加えて、字面にも統一感が出るからです。そして決めました。『志同く』とし、「こころざしおなじく」と読んでいただくことを。
「同じ」という言葉を用いていますが、「まったく同じ」ではありません。むしろ、「まったく同じ」であって欲しくはないのです。航海に例えると、船長である私は、目的地を明確に示さなければなりません。それを踏まえて船員たちはそれぞれの役割を果たすことになるのですが、想定外の事態が発生することがあります。そういうときに、臨機応変に対処できる船員たちであって欲しいというのが私の願いです。それが乗客である生徒や生徒の親御様を目的地まで心地良く運ぶことにつながるからです。『志同く』を通して、彼らが人間的に成長して行ってくれることを期待しています。
2023年12月
2024.12.20社員のおすすめビジネス書⑮
三浦のおすすめビジネス書
『たった1つの図でわかる! 図解経済学入門』髙橋洋一
これもAmazonのPrime readingに入っていたので読んでみた。Prime特典の人気ランキングを眺めていると、世の人々はこういったものを読んでいるのか、と自分の趣味との離れっぷりに驚く。以前は行動経済学についての本に触れてみたが、今回はストレートに経済学についてのものを手にとった。
たった一つの図、というのは誇張表現ではなかった。世の経済のすべては「需要と供給」の関係性、つまりは「需要供給曲線」によって説明できる、というのが筆者の述べるところであり、その例として例えば物価、あるいは待機児童問題、そしてデフレやインフレなどのことも挙げている。身近な個々の商品を扱うミクロ経済も、大局的なマクロ経済も、いずれも同じように需要曲線と供給曲線を理解するだけで良い、というのだ。結局はその曲線がどう動くのか、という一点に尽きる。なんとなく感覚として「需要が上がれば値段が上がる、供給が減っても値段は上がる」というようにはわかっていたのだが、それが金利や経済政策の話にまで応用が利くというのは驚いた。
経済の基礎中の基礎の部分もよくわかっていない身なので、完全に腑に落ちるようにするにはまだ何度か読み直さなければならない気がするが、筆者の言うように、「あらゆるパターンを覚えるのではなく、一つの基本を完璧にして、それを基に自分なりに考える」というのは、良い頭の働かせ方であり、良いトレーニングになると思う。
徳野のおすすめビジネス書
『ビックテックはなぜSF作家をコンサルにするのか SFプロトタイピングの実践』佐々木俊尚+小野美由紀
「将来の仕事に役に立つか分からない小説を読むことに意味があるのか?」
この疑問を投げかけている主体として真っ先に思い浮かぶのは読書嫌いの子どもかもしれない。だけど、有名大学を卒業して立派な仕事に就いている大人の中にも同じような認識を持っているビジネスパーソンは意外と少なくないのではないだろか。そんな人々への一つの案アンサーとなりえるのが本著である。
「SFプロトタイピング」とは、SF作家と協働しながら近未来の社会の姿を思い描き、そこで暮らす人々の生活や必要とされる技術を想像する手法だ。元々はアメリカのIT企業とスタートアップが商品開発やビジョン策定のために活用してきた思考プロセスだが、ここ10年はEU諸国における防衛計画や日本の大企業においても導入が広がってきている。その背景には、めまぐるしく変動し予測が困難な世界情勢がある。より長期的な視野を持つことで未曾有の危機に備え、特に企業や地方自治体にとっては生存戦略を練る手がかりになることが期待されている。
SFと言うとやはり「イノベーション」というテーマを避けて通れないが、我が国においては「技術革新」と混同されている傾向が強い。「技術によって人々の生活スタイルに変革をもたらす」というのが本来の定義である。そこを正確に理解しない限り、既存のテクノロジーの効率性を向上させること以上の発想は生まれない。自分たちが囚われている常識を顕在化させるのもプロトタイピングの狙いの一つだ。例えば、Apple社がiPhoneを発表した当時、それを「iモードの二番煎じ」だと鼻で笑った日本のエンジニアは少なくなかった。だが、スティーブ・ジョブズは単なる「ネット接続できる携帯電話」で終わらせないよう、タッチパネルの操作性を高め、Googleマップに代表される利便性の高いアプリケーションを無料配布することで、世界中のユーザーが(眠るときでさえ)iPhoneを肌身離さず身に付ける社会を実現させた。ジョブスの先見性は未来像をデメリットを含めて具体的に描けていたからこそのものであり、その優れた想像力はITの枠組みを超えた文学やアートへの関心によって培われたのは特筆すべき事実だ。
竹内のおすすめビジネス書
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』アービンジャー・インスティチュート
家庭でも学校でも職場でも、自分以外の誰かと過ごす場では必ずコミュニケーションが発生する。それが上手くいかないとき、「自分はこんなにやってるのに、なんで向こうは応えてくれないんだ」と腹が立ってしまうこともあるかもしれない。しかし、本書では実際には自身の振る舞いにも何かしらの問題があるものだと指摘し、それに気づかない「自己欺瞞」の状態を「『箱』に入っている」と表現している。自分の状況も、相手の状況も見えなくなってしまっているということである。それでは前向きな対話は難しい。
「箱」の中に入ってしまう原因として、「他人のためにこうするべきと思ったことをやらない」ことが挙げられており、それを「自分への裏切り」だと強い言葉で批判している。「この情報を共有しておくべきだ」「これを確認しておくべきだ」「こういうことを伝えてあげるべきだ」、そう分かっていたはずなのにそれをしないままでは、それをしなかった理由を探し、正当化に走ってしまう。一人一人、得意なことも苦手なこともある。柄じゃない、自分にはそんなことできない、と目を逸らしてしまったとして、相手との間に信頼関係を結ぶことはできるのだろうか。相手のためになる、という自分の判断に素直に従うこと、それが何より大切なのだ。そういう考えのもとでアクションを取る時、自分は自ずと「箱」の外に出られているはずである。