2024.10.08Vol.657 第2回「beforeとafterの間」を終えて
『志同く(こころざしおなじく)』の「Vol.35 学びの肥やし」において、社員の徳野が、現在何人かの高校生が海外旅行記に取り組んでいることを説明した上で、「うち1名が書き上げたものは10月8日(火)の『志高く』に掲載される予定」と述べた。完成はしているのだが、15日か22日に回すことにした。今回は書きたいテーマがあるからだ。
先週の土曜日、第2回「beforeとafterの間」を無事に終えることができた。これまで10回前後行ってきた、主に中学受験を経験した親御様に話をしていただく場『十人十色』に、志高塾らしい行事が新たに加わった手応えが得られた。
そのことに触れる前に、その日あった私にとって面白い出来事を紹介する。実は、開催を10月5日に決めたことを少々後悔していた。私が応援するガンバ大阪と幼馴染がコーチを務めるチームの試合が行われることを忘れていたからだ。チケットを用意してもらい、試合後に一緒に飲みに行く、ということが恒例になっているのだが、今回は残念ながら現地観戦は叶わなかった。彼が試合後のミーティングなどを終えるのが22時過ぎになるとのことだったので22時半待ち合わせになった。彼の宿泊先が私の家からは少々不便なところにあり、終電が23時半だったので電車で帰ることは諦め、タクシーで帰るか近くに泊まるかの2択になり後者を選んだ。料金的に大差は無く、タクシーが捕まらなかったら困るからだ。元々2人の予定だったのだが、彼が大学院でサッカーを一緒に学んだ友人を連れてくることになった。その方が、私立中学でサッカー部の顧問をしていて、志高塾の生徒がチームのキャプテンをしていたのだ。お母様は『十人十色』で話をしてくださった。その生徒は中学に入ってからもサッカーを本格的にしたい、ということで学業とサッカーの2軸で学校選びをし、サッカーを続けながら受験に臨んだ。ちなみに、「彼は勉強がよくできます」には、「そりゃあ、うちの生徒ですから」といつものように軽口を叩いておいた。そのことだけでも十分すぎるぐらいの偶然なのだが、その方は1カ月ほど前に行われた私の中2の二男が出場した公式戦の主審を務めていたのだ。丸坊主で風貌が目立ちやすいというのもあるが、どこが良かったかと具体的なプレー内容に言及した上で、「いいプレーをしていましたよ」と褒めてくださった。私も試合を見に行っていたこともあり、その指摘が適当でないことも分かったため、親としてはすごく嬉しかった。学校同士が近く、頻繁に練習試合をしているのならまだしも、たった1試合だけで印象に残らないものである。
さて、本題。第2回のスピーカーを引き受けてくれたTさん。立派にその役割をこなしてくれた。お母様も参加されていて、我が子の話し方がスムーズで無かったことが特に納得行かなかったようで、翌日に超長文のラインが送られてきた。火曜日は週に1回学校に教えて行く日であり、ちょうど1週間前の授業で、読解問題の本文が藤原正彦の『国家の品格』であったこともあり生徒たちに次のような話をした。「数学者なのだが、『国家の品格』がベストセラーになった。大学生になるまでほとんど読書をしなかった俺が、高校生の頃、家の本棚に並んでいた彼の『若き数学者のアメリカ』という本をなぜだか手に取り、それだけは面白くて何度か読んだ。『国家の品格』を出した後、講演会に一度行ってみたが話しはうまくなかったので書くことと話すことは違うということなんやと感じた。」そのことを否定的に捉えたのではなく、話すことに中身があれば少々話すのが下手でも人を惹き付けられるということを実感した。孫正義や山中伸弥の英語を聞いたときも似たような感想を抱いた。サッカー選手の本田圭佑に至っては、もう滅茶苦茶な英語なのだが、逆に言うと、自身でそのことが分かっていても、そんなことより相手との意思疎通を図ることに重きを置いているから気にしていないのだ。流暢な英語にはもちろん価値がある。ただ、そのような有名人たちが英語を話しているのを聞いて、「下手くそやな」で終わるのではなく、自らが誇る発音のきれいさを生かすだけの話題を自分は提供できているだろうか、という確認をすべきだということを言いたいのだ。志高塾では、小論文試験対策をする場合でも書き方から教えることは無い。与えられたテーマに対して、自らの経験を入れることを大前提にして、それと社会での出来事などを絡めながら自分なりの意見を述べることに重きを置いている。その質が上がってくると、自ずと最低限の書き方は身に付いているものである。このままだと誤解を与えてしまいかねないので断っておくと、うまく説明できていた、というのが彼女のプレゼンに対する私の偽りのない評価である。「孫正義 英語」でググってヒットしたある記事のURLを貼り付けておく。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00265/062800115/
今回は、高校生に積極的に声を掛け、卒業生である大学生の何人かにも参加を促した。未来のスピーカーたちである。彼女が小4の頃からなので、もう10年以上の付き合いになる。私個人としては、昔の話を懐かしんだり成長を感じたりしながら聞いていたのだが、おそらく高校生にとって一番参考になったのは大学と学部選びに関してではないだろうか。一人ではなくいろいろな人に話を聞いた方が良いこと。また、私は高校生に、自分の興味のある大学の学部の教授の本を読めば良いと勧めるのだが、彼女は論文にまで目を通した上で進学先を決めていた。幸いにも、高校時代に面白いと感じた教授の研究室で彼女は現在学んでいる。実際に会ってみると抱いていたイメージと大きくずれることはあるのだが、その場合でも、真剣に情報収集をするなどして選んだ結果であれば、そこからの方向転換はそれほど難しくない、というのが持論である。入学前だけではなく、入学後の勉強と向き合う姿勢についても刺激を与えてくれた。3回生にして、既に海外の学会に参加したり、国内では発表をして新人賞までもらったりしているからだ。第3回は、元々第1回を任せるはずであったMさんにお願いする予定である。無事に司法試験に受かってくれると良いのだが。
今回の「beforeとafterの間」に興味がある方はご連絡をください。録画したものをお送りします。