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2024.08.06Vol.649 貴重な6年生の夏休み

 この夏休み、6年生の三男と毎朝一緒に教室に向かっている。2人きりではない。豊中校の生徒で、通常の算数と理科に加えて夏期講習期間中だけは国語も西北校で受講する中学受験生の男の子も同乗しているからだ。家が近所であること、毎日お母様が朝夕の2回送迎することは大変であること、三男とそれなりに仲が良いことなどが理由である。「など」としたのは、それ以外に、授業開始の8時半にちょうど間に合うように来ようと思えば朝の渋滞に巻き込まれて遅刻する可能性があることも関係している。7時10分に待ち合わせをして毎朝8時前には到着している。ひと言目が「遅刻してすみません」となるのと、15分でも20分でも良いので勉強や読書をして、その後少し休憩をしてから授業に臨むのとでは一日の充実度が違ってくる。
 仕事柄、息子たちの中学受験について尋ねられることは多い。長男が幼稚園に通う前からそのような質問をされていた気がする。その度に「させる気は全くないです」と答えていたのだが、長男が小5ぐらいの頃だっただろうか、このままだと目標に向かって頑張るということをまったく知らないまま中学生になってしまう、ということに親として危機感を覚えた。別にそれが受験である必要は無かったのだが、スポーツには本格的に取り組んでいなかったし、音楽とは無縁であったため、現実的な選択肢がそれしかなかったのだ。本格的では無かったものの、受験直前でも週1回のサッカーには休まず通わせていた。不合格を突き付けられたら少なからず何か感じてくれるだろう、ということを期待して方針転換をした。私自身がそうであったからだ。自分の成功体験を元にそれと同じような道を歩ませようとする親も少なくないが、私の場合、自分と同じような失敗体験をより良い形で経験させてあげることに関心がある。どのようなタイミングで何にどれぐらいの力の入れ具合で立ち向かわせるかということを考えるのが父としての私の役割である。落ちることを前提に受験をさせたのだがたまたま合格した。それを間近で見ていた2学年下の二男は自ら受験をすると言い出した。長男のときとは違い、合格を目指して挑ませたが、こちらは逆にうまく行かず地元の公立に通っている。そして、三男。二男のように強い意志によってではなく、何となく「受験する」と口にはしていたが、勉強云々の前に、人間として基本的な部分をもっと育てないといけないと判断して、6年生になる前には受験をさせないことに決めた。特に6年生になってからは週末の2日間ともサッカー漬けになっている。同じ頃の長男、二男と時間の使い方が全く違う。3人の中では一番力を入れているサッカー、レギュラーで出られなくても自主練習の時間が特段増えるわけではなく、練習を工夫するわけでもないことに不満を感じている。先週末、半年ぶりぐらいに練習に付き合ったのだが、数多くある課題の中で、まず何をできるようにしたいか、そのためにはどのような練習をする必要があるのかを考えなさい、ということを具体的なメニューを行いながら伝えた。妻は、周りの熱血パパたちのように私がもっと直接的に関わることを望んでいるのだが、私はそういうことに興味が無い。もちろんそのようにすれば、どれぐらいかは分からないが、今よりは断然結果は出るようになる。しかし、それでは後に繋がらない。大手進学塾の先生が、親に向かって「どこでも良いから一校合格するという成功体験をさせてあげてください」と訳の分からないことを平気で口にするが、成功体験も失敗体験も、その後の人生に生きてこそそのように呼べるのだ。それゆえ、第一志望校の合格ですらそれに値しないことは往々にしてある。長男のときも二男のときも、講師たちには「私の子供は後回しにしていい」ということを伝えていたし、本人たちにも「他の子が優先だから、先生の手が空いていなければ、ボーっとするのではなく自分でやることを見つけて、それをしておきなさい」と厳命していた。ある算数の問題の解き方を教えることよりも、先で生きる物事への取り組み姿勢を身に付けさせることを大事にしながら育てている。
 さて三男、受験はしないが、冒頭でも述べたように上の2人と同様に6年生の夏休みは毎朝一緒である。2人がそうであったように、ポッドキャストでニュース番組や『コテンラジオ』で歴史の解説を聞きながら会話をしている。言葉の意味や漢字、内容に関することなどを質問している。子育てなどうまく行かないことだらけだが、そういう私の問いかけに、「分からん」、「そんなんどうでも良い」と返すことはない。考えた結果適切に答えられなければ、私の説明にきちんと耳を傾ける。そういうやり取りをできる関係を築けていることには満足をしている。三男が5年生の頃、「これからは一緒に城巡りをして、二人の時間を増やそう」と決めたのだが、サッカーの試合が増えたためまったく持って実行に移されていない。しかし、会話の時間は明らかに増えている。人間的に少しぐらいはまともになっているはずである。

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