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 2か月前に始めた社員のブログ。それには主に2つの目的がありました。1つ目は、単純に文章力を上げること。そして、2つ目が社員それぞれの人となりを感じてとっていただくこと。それらは『志高く』と同様です。これまでXで投稿していたものをHPに掲載することにしました。このタイミングでタイトルを付けることになったこともあり、それにまつわる説明を以下で行ないます。
 先の一文を読み、「行います」ではないのか、となった方もおられるかもしれませんが、「行ないます」も誤りではないのです。それと同様に、「おなじく」にも、「同じく」だけではなく「同く」も無いだろうかと淡い期待を抱いて調べたもののあっさりと打ち砕かれてしまいました。そのようなものが存在すれば韻を踏めることに加えて、字面にも統一感が出るからです。そして決めました。『志同く』とし、「こころざしおなじく」と読んでいただくことを。
 「同じ」という言葉を用いていますが、「まったく同じ」ではありません。むしろ、「まったく同じ」であって欲しくはないのです。航海に例えると、船長である私は、目的地を明確に示さなければなりません。それを踏まえて船員たちはそれぞれの役割を果たすことになるのですが、想定外の事態が発生することがあります。そういうときに、臨機応変に対処できる船員たちであって欲しいというのが私の願いです。それが乗客である生徒や生徒の親御様を目的地まで心地良く運ぶことにつながるからです。『志同く』を通して、彼らが人間的に成長して行ってくれることを期待しています。

2023年12月

2024.09.13Vol.34 川と海を越えて(三浦)

 先日、かねてから気になっていた中之島図書館をようやく訪れた。
 中之島の美術館や科学館などには何度か足を運んでおり、そのついでに寄ってみようとその都度思いながらも、そして途中まで歩いていきながらも、体力不足で断念することが多かった。一度は「図書館やし空いてるやろ」と軽い気持ちで日曜日に訪ね、扉の前で休館日を知ったこともある。
 大阪出身ながらも大阪市にはあまり詳しくなく、車を運転するわけでもないので、中之島あたりの土地勘は皆無と言っても差し支えない。そのため事前情報も何もなく、図書館を目指して行ったものの、その日はすぐ隣の中央公会堂に入ってしまった。
とはいえ、その中央公会堂も展示室を見ていると知らないことばかりで興味深かった。中央公会堂は「義侠の相場師」「北浜の風雲児」と呼ばれた株式中売人の岩本栄之助氏の多額の寄付によって建設されたものであるが、その彼は渋沢栄一が団長となった渡米実業団の一員としてアメリカに渡ったことや、莫大な損失により自死を選んだことなどが展示されていた。
 ここからどんな話がしたいのかというと、そういった株取引が盛んだったことや実業家によって建てられたのだという知識を持って中之島図書館の蔵書を見ると、なんとも納得がいった、ということだ。私は図書館といえば近所の市立図書館か大学図書館しか知らないが、町の図書館というのは概ね蔵書に偏りはないと思っていた。しかし中之島図書館は歩いてみた限りでは、ビジネス書と社史、そして大阪という土地にまつわる本がほとんどを占めていたのだ。思い返せば、図書館まで歩いた道で「綺麗な建物だなあ」と立ち止まったのは大阪取引所だったし、船場といえば天下の台所、そりゃあもう、ばりばりのオフィス街なのは当然のことである。
 ホームページを見たところ、ビジネス支援サービスというものを行っているようだ。以下に引用する。

「大阪のビジネス街の中心に立地し、利用者の多くを占めるビジネスパーソンのニーズに対応し且つ館の有益性を向上させるというコンセプトのもとに行われました。(中略)定期的にビジネスセミナーを実施し、『ネットショップ』や『ベトナム投資』、『貸借対照表』等旬のテーマについて外部講師にお話しいただき、利用の促進を図っています。」
「1904(明治37)年に開館し、今年で102年という歴史をもつ当館は重要文化財に指定されており、かつては大阪商工の隆盛を図って創設されました。そして21世紀に入り改めてビジネス支援を行う図書館として再出発し現在に至り、財政難の中でどのようなサービスが展開できるか模索する日々が続いています。」

 訪ねたのは土曜日だったが、それでも一見してビジネスパーソンだろうなあという人々が熱心に本を閲覧していたのは記憶に新しい。今こうして支援サービスの内容を見て、なるほど、となった。ちなみに大阪の府立図書館では、中之島図書館が上述のようにビジネス書や大阪にまつわるもの、中央図書館が総合図書館としてそれぞれ機能を分担しているらしい。ほか、中之島図書館のそばには「こども本の森」もある。用途とニーズに合わせての分担ということだろう。
 さて、長々と書いてきたが、本来はここからパリの話に移る予定だった。図書館に向かう道すがら、同行者の知人と「中洲といえばパリを思い出す」という話をしていたのだ。といっても私はパリの中洲、シテ島やサン=ルイ島のことをよく知らなかったのでうんうん相槌を打つばかりだったが、中之島の運用とは全く違うことは明らかである。ノートルダム大聖堂のあるシテ島、セザンヌやボードレールが居住していたこともある高級住宅地のサン=ルイ島、蔵屋敷が集まっていた中之島…。ざっと調べるとこんな差だ。中之島は商業のために開発されたそうだが、シテ島やサン=ルイ島の方はむしろ「パリ発祥の地」と言われているので、そもそもの順序が逆なのだ。そういえばマンハッタンも川に囲まれていただろうか? 地理に明るくないので、新鮮で面白い。いろいろな国の川の比較も楽しそうである。
 ちょうど、その時の中之島図書館では「1/300のたくらみ」という模型展示を行っていた。産経新聞の連載企画らしい。ストーンヘンジや国連本部といった有名どころから、幼少期の思い出の詰まった実家(ヨルダンの方のものだ)など、世界中のさまざまな施設や遺跡が1/300スケールの模型になって並んでいた。縮尺が同じなので、まったく違う土地のものでもサイズ感を比較できる。マダガスカル、バオバブの木が立ち並ぶバオバブアベニューの模型の隣に阪神甲子園が置かれているのだが、高さがほとんど同じで、「バオバブってこんなに大きいんや」という実感が得やすかった。ぱっと見てまったく違うものでも、なにかに注目して比較してみると面白いことが見つかる。
 ブラウザを20タブくらい開きもって調べながら書いていたが、まだまだ自分の中に落とし込めていない気もする。そんな中、オリンピックの話に持っていくにはだらだらとしすぎたので、ひとまず区切りとする。

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